基礎講座 第3回:「ローカル5Gの特長」

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通信の信頼性

 ローカル5Gは公衆網の5Gと同様に、3GPPで規格化された仕様に基づいた携帯電話システムです。(詳しくは基礎講座第1回をご覧ください)

現在の携帯電話システムは、固有の番号が割り当てられているSIMというカードを各端末に実装し、SIMが生成するコードにより認証、秘匿化などを行います。これに対して、無線LANでは固定の鍵を使い、アクセスポイントと端末の認証処理を行って接続するのが一般的です。このような仕組みの場合、固定の鍵を使用するため、鍵となる値を繰り返し変更しながら接続を試みることで、対象の鍵と一致して認証をパスできてしまうことが問題となります。一方、SIMを用いた認証を行っている携帯電話システムでは、鍵自体が無線上で交換され都度変更されます。そのため、無線LANの仕組みのように総当り法で突破されることはなく、セキュリティ性が高くなっています。この特長により、病院、工場やプラントといった秘匿性の高い情報を扱うネットワークにおいて、ローカル5Gの利用が期待されています。

通信の安定性

 ローカル5Gは公衆網5Gと同様に、専用の周波数を使用します。無線LANは不特定多数の機器が同じ周波数を使用します。そのため無線LANでは、通信エリア内に勝手に機器が持ち込まれると、干渉により通信が不安定となる問題が発生します。ローカル5Gでは、このような問題を起きません。

 また、公衆網の5Gでは多くの端末が一つの基地局に接続することがあり、接続性が落ちてしまうことがあります。駅構内で通信がしづらかったり、動画のダウンロードが遅くなったりする現象が、それにあたります。これに対し、ローカル5Gは自身が認めた端末しか基地局に接続されないために、十分な無線リソースを確保することができます。さらに基地局の設定によっては、対象の端末に対して通信帯域を保証するようなことも可能です。

 このため、より確実な通信が必要なシステムにおいて、ローカル5Gの活用が見込まれています。

上り回線速度

 公衆網の5Gを含む一般的な無線システムでは、下り回線の速度が重要視されています。一般的なユーザーにとって、動画や画像といった大量のデータをインターネットからダウンロードすることが主な利用目的となります。これには、下り回線の通信容量が大きいシステムが適しています。ところが、病院や工場といった産業目的で利用する場合では、上り回線の速度が重要視されるケースが多々あります。例えば4Kカメラの画像をサーバーに転送しAI処理したり、各種センサーデータをサーバーに送りビックデータ解析を行いシステムの最適化を図ったりすることが考えられています。

 ローカル5Gでは、無線パラメータをユーザーが変更し、上り回線の速度を重視するように選択することも可能です。実際に弊社ローカル5G製品AU-510を使用して無線パラメータの最適化を行い、8K動画のリアルタイム伝送アプリケーションに応用しています。このデモンストレーションはエイビット本社にて見学可能となっております。見学をご希望の場合にはこちらよりお問い合わせください。

図1 8Kカメラとローカル5Gによるソリューション

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